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ヒット作「Color Match」が生まれた秘訣は?ケーススタディで学ぼう

Colormatchが生まれた秘訣

Bridge Raceを開発したGarawell Gamesのヒット作「Color Match」をご存知でしょうか?SNSのトレンドをハイパーカジュアルゲームにし、大ヒットしています。

 

このゲームの目的は、絵具を混ぜ、与えられたお題の色を作るというもの。これまでにない新しいハイパーカジュアルゲームとして人気が出ました。そこで今回はこのような新しいアイデアが生まれた方法や、CPIを下げてヒット作に育て上げた方法などを、Garawell GamesのCEO・Nebih Başaran氏の記事を参考に解説します。

Color Matchのアイデアが生まれた方法

Color Matchはランナーゲームのように他の人と競ったり、シミュレーションゲームのようにショップのお客さんを喜ばせるなどのメカニクスは使用されていません。「お題のものと同じ色を作ること」に焦点が当てられた芸術的なテーマのゲームだと言えます。

 

このような独創的なアイデアはどのように生まれたのでしょうか。

SNSのトレンドをうまく捉えた

Color Matchのアイデアがハイパーカジュアルゲームになった背景には、SNSが大きな役割を果たしています。開発者のGarawell Gamesは過去に、ColorMerge3Dという、Color Matchと同じように絵具を混ぜるコンセプトのゲームを開発していました。そのため、絵具を混ぜて色を作るというアイデアはずっと持っていたのです。

 

しかし、それを新たにColor Matchというハイパーカジュアルゲームにする決断の後押しをしたのは、TikTokや掲示板サイトRedditなどのSNSでした。

 

多くのSNSでトレンドになっているのを見て、カラーを混ぜるコンセプトを新しい形にすれば市場で競争できると思いました。加えて、このゲームには他のヒット作によくフィーチャされているASMRの要素もあったのです。

引用:Supersonic

 

SNSでトレンドになっているものは、現在スマホユーザーに注目されているものです。

SNSのトレンドがすべてゲームとして成立するわけではありませんが、ゲームにすると人気が出る可能性が高いアイデアが詰まっていると言えます。

Color Matchでは、Garawell Gamesが元々持っていたアイデアの「旬」をSNSのトレンドで見極めたのです。

他のハイパーカジュアルゲームにない独創性

また、Color Matchがヒットしたもう一つの理由は、他のハイパーカジュアルゲームにはない独創的なアイデアだと言えるでしょう。

 

その当時、このようなメカニクスを使ったハイパーカジュアルゲームは他にありませんでした。そのため、私たちはチャンスを素早く掴み、SNSのカラーマッチングトレンドにひねりを加えた独創的なゲームを開発したのです。

引用:Supersonic

 

既にハイパーカジュアルゲームとして人気が出ているジャンルで、新たにひねりを加えたものを作ることもできますが、まだハイパーカジュアルゲームになっていないアイデアを使うと、ユーザーは「見たことないな、やってみようかな」と強い興味をそそられます。

 

競合に先立ってジャンルを開拓する場合は、ハイパーカジュアルゲーム以外の場所からアイデアを得ること、そして開発のスピードが重要となるでしょう。

Color MatchのCPIを下げるために行ったこと

Color Matchのテストを行い始めた当初は、CPIが高く、CPIを下げるための施策が必要でした。行った施策は以下の通りです。

ゲームの進め方の変更

ゲームの進め方を、選択肢がなくスピーディーなものに変更しました。

 

最初はユーザーがいくつかの棚から物を選び、それをペイントしたら別の物を選ぶために物を棚に戻すという仕組みになっていました。そこで、この選択の自由を取り払ったゲームプレイでA/Bテストを行いました。

引用:Supersonic

 

ゲームに限らず、人は日常生活において決断を下すときに知的リソース/エネルギーを使います。そのため、小さな決断が多く重なると決断疲れを起こしてしまう可能性があるのです。ハイパーカジュアルゲームでは、ゲームプレイのコアとなる部分以外に知的リソースを使わせないことが重要でしょう。

 

あまり頭を使わず満足感を得られるようなゲームプレイがベスト。リラックスしたいユーザーにあまり余計なエネルギーを使わせないようにする工夫が必要です。ゲームプレイのコアな部分以外でユーザーに選択肢を多く与えすぎている場合は注意が必要です。

UIを3Dにした

CPIを低くする施策の一つとして、Color MatchではUIを3Dにしています。

 

また、ゲームのシンプルさを減らし、エンゲージメントを高めるために、3DのUIも試しました。背景に細かくデザインされた建物を使うことで、メニュー画面をより高度なものにもしたんです。この新しいバージョンによって、APPUは75%も改善しました。

引用:Supersonic

 

UIはユーザー・インターフェースの通称で、ユーザーとゲームの接点すべてのことを言います。例えばオンラインショッピングを行う際、Webサイトのデザインがパッとしないと、商品の質にも疑問が出ることはありませんか?店頭で手に取る商品も、パッケージデザインやPOPが魅力的かどうかは買い物体験に大きくかかわってきますよね。

 

同じように、ハイパーカジュアルゲームでもUIはユーザー体験に大きな影響を与える部分です。
ユーザーがあなたのアプリにアクセスしたときにポジティブな気持ちになれるようなUIを目指し、試行錯誤してみましょう。Color MatchではUIを3Dにしましたが、ボタンの色や位置を変えたり、背景の画像を追加したりなど、他にも様々な改善方法があるでしょう。

Color Matchのケーススタディから学べること

このようなケーススタディから、自分のハイパーカジュアルゲームに活かせるヒントを見つけましょう。

トレンドにひねりを加える方法

Color Matchは、TikTokなどで見つけたトレンドにひねりを加えています。トレンドを分析し、ユーザーがどのようなことに魅力を感じているかを知った上でひねりを加えてみましょう。
トレンドのコアとなる部分は変えずに、ゲームとして面白くするための一工夫を加えるのです。

 

最近は少し奇妙でエキセントリックなゲームが注目されやすくなっています。他のハイパーカジュアルゲームと差別化でき、ゲームとしての面白さを強調できるようなアクセントを考えてみましょう。

SNSはアイデアの宝庫

Color MatchのアイデアはSNSのトレンドからヒントを得ています。ハイパーカジュアルゲームを考案するときは、SNSを参考にするといいでしょう。この際、ハッシュタグや検索機能を使うと人気の動画を見つけやすいです。

 

また、リサーチ用のアカウントを作って、トレンドのものにどんどん「いいね」を押すのもおすすめです。「いいね」を押してSNSのプラットフォームにあなたの好みを伝えると、アルゴリズムによって隠れたトレンドのコンテンツが出てくるかもしれません。ハイパーカジュアルゲームのユーザーになった気持ちでSNSアカウントを利用すると良いでしょう。

CPIが高くても試行錯誤で改善は可能

Color Matchは当初、CPIが高いところからのスタートでした。しかし、A/Bテストを繰り返すうちにCPIを下げることに成功しています。

今回紹介した施策以外にも、以下のようなことを試すと良いでしょう。

  • ゲームプレイを強調するために他をシンプルにする
  • 色は明るく鮮やかに
  • 失敗シナリオを加える
  • 差別化を図るためにカメラのアングルを変える
  • 無駄なUIをなくしたり、分かりやすくするために付け加えたりする
  • 満足感を促すアニメーションを追加する

ハイパーカジュアルゲームはケーススタディで学ぼう

ヒットしたハイパーカジュアルゲームがどのような施策を行っていたかを知り、自身の開発に活かしましょう。今回はColor Matchのケーススタディをご紹介しましたが、ハイパーカジュアルゲームの世界有数のパブリッシャーであるSupersonicの公式サイトには他のケーススタディも載っていますので、ぜひ参考にしてくださいね。