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ハイパーカジュアルゲームのプロトタイプとは?作り方やポイントを解説

ハイパーカジュアルゲームのプロトタイプとは

ハイパーカジュアルゲームでは、本格的にゲームを開発する前にプロトタイプを作成します。しかし、プロトタイプとは何なのか、どのように作り、どれくらい作り込めば良いのかなど、多くのデベロッパーにとって大きな悩みの種となっています。

 

そこで今回は、ハイパーカジュアルゲームのプロトタイプについて徹底解説します。プロトタイプを作る目的から、作り方、作る際のポイントなどを解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

プロトタイプとは?

プロトタイプとは「試作モデル」のことを指します。本番のゲームよりもシンプルなプロトタイプを作りテストをすることで、多くの時間や労力をかける前にゲームのマーケッタビリティー(市場競争力)を知ることができるのです。

 

ゲーム開発にはお金と時間がかかります。そのため、思いついたアイデアをすべてゲームにすることは非現実的。時間をかけて開発したゲームをいざ市場に出したら、全くインストールされないという事態になりかねません。そこで、プロトタイプを短期間で作成し、まずはマーケッタビリティーをテストするのです。テスト時のKPIを見て、本番のゲームを開発する価値があるかどうかを判断します。

 

プロトタイプの目的は、ゲームアイデアのマーケッタビリティーを試すこと。そのため、ゲームのコアとなるメカニクスだけを強調し、それ以外の細かいデザインなどには手を出さないことが重要です。

プロトタイプの作り方

ハイパーカジュアルゲームのプロトタイプの作り方は、主に4つのステップに分けられます。

①企画を考える

まずはプロトタイプにする企画を考えましょう。ハイパーカジュアルゲームとして成立するためには、シンプルで分かりやすく、中毒性がある必要があります。

 

ハイパーカジュアルゲームとしてのポテンシャルを確認するためには、コンセプトアートを3枚作ってみるのがおすすめです。ゲームの一部を切り取ったような画像を3枚作成し、その画像を見ただけで「ゲームの目的」「面白さ」「操作方法」などが分かるかを確認します。

 

このステップを踏むことで、ハイパーカジュアルゲームとして重要である「分かりやすさ」を担保しやすくなります。

②簡単なプロトタイプを作る

次に、簡単なプロトタイプを作ります。

 

プロトタイプで作成するレベル数は10個以内に留めましょう。プロトタイプの目的はゲームのマーケッタビリティーを確かめることにありますので、コアメカニクスを表現できていればそれで良いのです。10個以上レベルを追加すると、開発に必要以上の時間とコストがかかってしまうため、レベルの数は増やしすぎないようにする必要があります。

 

また、コアメカニクスを強調できるようなデザインを意識しましょう。細かいキャラクターデザインや背景、効果音など、コアメカニクスから注意を逸らすような要素はなるべく削ぐのがコツ。この時点では、あくまでもコアメカニクスが主役です。

③テスト用のクリエイティブを作る

次に、CPIテストを行うためのクリエイティブを作成します。クリエイティブ数は4~8個程度がスイートスポット。テーマやシナリオなどをクリエイティブごとに変え、バリエーションを持たせましょう。

 

クリエイティブを作成する際は、最初の5秒が最も重要です。ユーザーは通常、最初の5秒以降はスキップしてしまいます。一瞬でゲームの魅力を伝えられるようなクリエイティブを作成しましょう。強調したい部分のコントラストを強め、アイコンや色などをできるだけ分かりやすくするのがポイントです。

 

また、3秒ごとに何かが起きるクリエイティブは印象に残りやすいです。暇な瞬間を与えず、リズム感良く常に新しい刺激を与えることで、ゲームの中毒性もアピールすることができます。

④KPIに基づき、プロトタイプを改善する

CPIテストを行ったあとは、テストで得られたデータを利用してプロトタイプを改善させます。

 

例えば、成果が高いクリエイティブのメカニクスをゲームに取り入れたり、ユーザーの離脱率が高いレベルの調節を行ったりします。この時点で行えるプロトタイプの調節点としては、以下が挙げられるでしょう。

 

  • カメラ視点の変更
  • 背景や環境の変更
  • 色のコントラストの調節 など

 

このステップではプレイ時間を改善させゲームの魅力を高めましょう。クリエイティブの成果によっては、ゲームのコアメカニクスに変更を加えることもあるかもしれません。

プロトタイプを作成するときのポイント

プロトタイプを作成するときに、ヒットしたハイパーカジュアルゲームのデベロッパーたちが意識していた点は以下の通りです。

プロトタイプの作成期間は1週間程度

プロトタイプの作成は1週間以内に終わらせることを目標にしましょう。開発が難しいメカニクスを扱う場合は1週間半程度かかることもありますが、プロトタイプ作成に2週間以上かけるのはおすすめできません。

 

時間をかければかけるほどお金と労力がかかりますし、2週間以上かけて開発したプロトタイプが失敗するとデベロッピングチームのモチベーションダウンにつながる可能性があるのです。多少荒削りでも1週間程度でプロトタイプを作成し、より多くのコンセプトをテストした方が効率が良いでしょう。

画面を占める割合が大きい要素から調節する

プロトタイプを改善する段階で、どの要素から手をつければ良いのか迷う場合は、画面占有率を参考にする方法がおすすめです。

 

例えば、背景はゲームをプレイするときの画面の60~80%を占めているため、背景を改善すればゲーム全体の印象がガラッと変わります。シェーダーを追加したり、開けた環境から狭い環境に変更してみたり。ゲームプレイが強調されるような背景を探ってみましょう。

 

さらに、常にユーザーの注意の中心にいるキャラクターのスキンも優先順位は高いでしょう。このように、画面を占める割合が高いものやユーザーの目が行くものなど、ゲームに与えるインパクトの大きさを考えて、取り組む優先順位を決めると良いでしょう。

UIは分かりやすく

UIはできるだけ分かりやすく作成しましょう。メニューボタンやレースの障害物、キャラクターの操作方法まで、老若男女が簡単に理解できるデザインにする必要があります。

 

特にチュートリアルやゲーム開始画面などでは、カーソルやアイコンなどが役立つでしょう。選択肢を与えすぎず、デベロッパーの意図通りにユーザーを誘導する必要があります。例えば、ゲームスタート画面では「ゲームを開始する」のボタンを大きくしたり色を変えたりなど、一番に目立たせる工夫をすると良いでしょう。

 

他にも、UIを分かりやすくするためには「プレイアブルゾーン」を意識して要素の配置を考えると良いと言われています。プレイアブルゾーンとは、ユーザーがスマホを持ったときに指で簡単に操作しやすい「画面下部3分の1」のこと。ユーザーに操作して欲しい部分にはカーソルのアイコンを加え、画面下部に設置するなどを意識すると良いでしょう。

プロトタイプは「シンプルに分かりやすく」

プロトタイプはとにかく「シンプルに分かりやすく」作成することが重要です。本格的なゲーム開発に入る前に、マーケッタビリティーを測るためのものであるということを忘れずに作成しましょう。あまり時間をかけずに、コアメカニクスを強調します。

 

CPIが高く、改善できない場合にはこのアイデアは諦めて次のアイデアに進みましょう。テンポよくプロトタイプを作成し、ヒットとなるハイパーカジュアルゲームのアイデアを探り続けることが重要です。

投稿者プロフィール

広報部ゆあ
広報部ゆあ
株式会社ソースコード広報部/ライター
海外のインディーズゲームが好きで、自分でも開発するようになるが、飽きっぽく凝り性なので一人でリリースまで作り上げることができず、ぐだぐだしているところをスカウトされた。
現在は主にディベロッパーへの技術サポートと公式サイトのお役立ち情報の更新を担当している。