ハイパーカジュアルゲームにとって「LTV」はとても重要な数値。多くのユーザーにプレイしてもらうことも大切ですが、1人に長くプレイしてもらうことも収益性を高める上で大切なのです。そこで今回はLTVを改善させる方法をご紹介。Supersonicの記事を引用しながら重要な部分を解説していきます。
LTVとは
まずはLTVについて。LTVとはLife Time Valueの略で、顧客1人あたりがどれだけ収益をもたらしてくれるかという指標です。日本語で「顧客生涯価値」と表されることもあります。
ハイパーカジュアルゲームでいうと、ユーザーがアプリをダウンロードしてからどれだけの収益をあげてくれたかということ。ユーザーがそのアプリにハマればハマるほどLTVは高くなる傾向にあります。
ハイパーカジュアルゲームはCPI(Cost Per Install/1インストールにかかった費用)をLTVが上回ることで利益となります。つまりこのLTVを上げることはとても重要なミッションなのです。
LTVを改善する3つの方法
ではLTVはどうしたら良くなるのでしょうか。Supersonicの成長部門リーダー、サマンサ・ベンジャミン氏が語った3つのLTV改善方法をご紹介していきます。
リテンションの改善
新規ユーザーを獲得することも重要ではありますが、それと同時に既存のユーザーに対してのアプローチも大切です。そこで重要なのが「リテンション」という指標。リテンションとは定着率・継続率と表されることもあり、一度ダウンロードしたアプリを再度開くことを指します。つまりリテンションが高いアプリは、ユーザーが飽きずに何度もプレイしているということなのです。
ハイパーカジュアルゲームでリテンションが最も高い期間は始めの7日間なので(始めの7日以降も残るユーザーはたったの12~13%)、この7日間のうちにLTVをブーストすることを目指すべきです。そして、この期間を延長し、利益を最大化するためには「リテンション」に目を向ける必要があります。
引用:Supersonic
リテンションが高い期間は、ユーザーがダウンロードしてから7日間。まずはこの期間にLTVをしっかりと上げておくこと。そして、リテンションが高い期間をなるべく長引かせることが重要であると書かれています。
リテンションを改善するには、ユーザーが離脱する直前のレベルを見るところから始めましょう。
引用:Supersonic
Supersonicが改善策として挙げているのが、ユーザーが離脱しているポイントを見るということ。離脱率の高いレベルを改善することで、より長くプレイしてもらえる可能性が高まります。
例えばこれまでリズム良くプレイできていたのに、突然難しいレベルに行き当たり、クリアできなくなったらユーザーのストレスになりかねません。逆にどこまで進んでも難易度がまったく上がらない場合でも、クリアしたときの喜びを感じることが出来ず、離脱につながる可能性があります。
ユーザーがいかに気持ちよく、長く遊べるかを意識してアプリの内容を改善してみると良いでしょう。
具体的にどのくらいの数値を目指すべきなのかは、Supersonicの記事をご覧ください。
インタースティシャル広告でのA/Bテスト
インタースティシャル広告とは、全画面表示される広告のこと。表示されるタイミングはさまざまですが、「ホーム画面に戻るとき」や「ステージの終わり」などが例に挙げられます。
インタースティシャル広告はハイパーカジュアルゲームの収益化において重要な役割を果たします。
そんなインタースティシャル広告のA/Bテストを行うことは、「スイートスポット」を発見するのに必須。スイートスポットとは、的確なタイミングで最適な量の広告を配信し、リテンションに大きく影響を与えずにARPDAUやLTVを改善させるポイントのことです。
引用:Supersonic
Supersonicは最適なインターステイシャル広告のポイントを「スイートスポット」と表現しています。このスイートスポットを見つけることで、LTVが改善されるというのです。
スイートスポットを探すためにSupersonicが推奨しているA/Bテストは以下の3つ。
・インターステイシャル広告の秒数を変えてA/Bテスト
・インタースティシャル広告を流すレベルを変えてA/Bテスト
・レベル終了画面の前とレベル終了画面の後でA/Bテスト
同一アプリ内でこれらをテストし、より良い結果が出たポイントでインタースティシャル広告を織り込むことがLTVの改善につながるとされています。
動画リワード広告の配置
一般的にハイパーカジュアルゲームで扱う広告の中でも「動画リワード広告」は最も収益に効果があるとされています。なぜなら、リワードのためにユーザーが積極的に広告を再生するからです。
ユーザーは動画リワード広告を再生することで、レベルのスキップや新たなスキンの開放、報酬の増加などのリワードを受けることができます。
動画リワード広告のさまざまな配置を試せば、ユーザーのエンゲージメントが高くなり、LTVを改善させる配置を発見できるはずです。
引用:Supersonic
動画リワード広告には可能性が大きくあります。ユーザーがどのような報酬を欲しがっているのか、どのタイミングであれば動画が再生されやすいのかをしっかりと見極めることで、LTVを改善できるかもしれません。
Supersonicはリワード広告の配置場所として主要な4つを紹介しています。
「経済関連の動画リワード広告」
経済、つまりアプリ内通貨などにまつわるリワード広告は、取り入れているハイパーカジュアルゲームが多いのではないでしょうか。広告の再生によりもらえる通貨が増えたり、そこでしか手に入らない通貨をもらえたりといったリワードが存在します。
「進捗報酬を与える動画リワード広告」
広告を再生することで、ストーリーの進捗に影響を与えるリワード広告を指します。レベルをスキップできたり、他のユーザーにはないブースト機能を手に入れたりといったものがこれに当たるでしょう。
ゲームを有利に進められることから、積極的に再生されることが考えられます。
「運試しの動画リワード広告」
ルーレットを回すための広告などは、ここに当たります。ユーザーはこうした運の要素に引き込まれることが多く、何度も広告を再生するユーザーも出てくることでしょう。
「スペシャルコンテンツを解放する動画リワード広告」
広告を再生しなければ行き着くことの出来ないレベルを開放するなど、リワード広告を再生した人にだけ与えられるスペシャルコンテンツが用意されているとユーザーはつい広告を再生してしまいます。
たった数十秒の動画を見るだけでこんなに価値のあるコンテンツに出会える、という感覚をユーザーに与えることが大切ですね。
さまざまな視点からLTVを改善
Super Sonicの記事より、さまざまなLTV改善案を確認することができました。ここに挙げた改善案がすべてのハイパーカジュアルゲームに効果があるとは限りません。アプリとの相性を見ながら施策を重ねていくことで、よりよいハイパーカジュアルゲームへと成長していくでしょう。
1つの施策で改善されなかったからといって諦める必要はありません。ぜひよりよいLTVを目指して取り組んでみてください。
Supersonicの記事はこちらから。
投稿者プロフィール
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株式会社ソースコード広報部/ライター
海外のインディーズゲームが好きで、自分でも開発するようになるが、飽きっぽく凝り性なので一人でリリースまで作り上げることができず、ぐだぐだしているところをスカウトされた。
現在は主にディベロッパーへの技術サポートと公式サイトのお役立ち情報の更新を担当している。
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