Giant Wantedというゲームをご存知でしょうか?Androidのアプリストアで1位を獲得し、iOSでも3位になった人気のハイパーカジュアルゲームです。
ハイパーカジュアルゲーム業界は他のジャンルと比べて開発が簡単で、ヒットすると億単位での収益を望める夢のある業界です。そのため、自分の作品をヒットさせる方法を模索し続けている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、Giant Wantedをはじめ、ヒットしているハイパーカジュアルゲームを分析します。自分の作品をより多くのユーザーに届けるためのヒントにしてくださいね。
Giant Wantedとは
Giant Wanted(ジャイアント・ウォンテッド)はMegatouchという中国成都市に拠点を置くスタジオが開発したハイパーカジュアルゲームです。
ゲームの目的は、街中に現れる巨大な生物を倒すこと。巨人や怪獣が人々を襲う前にプレイヤーがライフルで攻撃して倒します。レベルが上がるにつれて敵が強くなっていき、プレイヤーもさらに強いアイテムや武器を得ることができます。
攻撃する部位によって攻撃力が高まることもポイントです。巨大生物の頭を狙うと大きなダメージを与えられるので、効率的に敵を倒すためには狙いを定めることも必要となります。
Giant Wantedのヒットの理由
Giant Wantedは誰にでも親しみやすいハイパーカジュアルゲームです。では、数多くある競合のゲームに埋もれてしまった作品と、このヒット作品との違いは何でしょうか?
成功クリエイティブを参考にゲームを改善
Giant Wantedでは成功したクリエイティブを参考にゲームプレイの改善を行っています。Giant Wantedのテストを行い始めたころは実は、CPIやリテンション率などのKPIが伸び悩んでいました。
そこで改善方法を模索した結果、クリエイティブで採用されていたシーンをゲーム内でも採用することにしたのです。
成功していたクリエイティブにはスナイパーが巨人を撃つシーンが使用されていたため、似たデザインとカメラアングルを使用して、ユーザーがスナイパーとして巨人を撃つことができるゲームプレイを作成しました。
引用:Supersonic
効果が出ているクリエイティブの要素をゲームに追加することには、2つの利点があるといえます。1つ目は、既にユーザーの反応が良いと分かっている要素を追加することで、ほぼ確実にゲームが改善し、ユーザーに愛されるものになるという点。2つ目は、クリエイティブとゲームとの違いを最小限に留めることで、「広告で見たよりも面白くない」というユーザーのがっかり感をなくせるという点です。
CPIが低いクリエイティブを見つけたら、クリエイティブ内の要素をゲームに追加できないか検討してみるといいかもしれません。
ユーザー体験を最適化している
さらに、Giant Wantedではユーザー体験を最適化しています。ユーザー体験とは、ユーザーエクスペリエンス(UX)とも言われ、その商品やサービスを利用して得られる体験すべてのことを指します。
ハイパーカジュアルゲームにおけるユーザー体験は、ユーザーがゲームの内容を理解し、アプリストアでゲームをインストール、そしてゲームをプレイするまでのすべての段階のことです。この体験のどこかで不快感を感じさせてしまうと、ゲームをアンインストールするきっかけになってしまい、リテンション率が下がる可能性があります。
Giant Wantedでは以下のようにユーザー体験の弱点を発見し、改善しました。
さらにKPIを改善させるためにSupersonicのチームがユーザー指標を深く分析したところ、レベルの間でユーザーの離脱が多いことが判明しました。この問題をさらに調査すると、ロード時間とUIに問題があることが分かったのです。
引用:Supersonic
レベルが切り替わるときにロード時間が長いと、ユーザーは不快感を感じてしまい、Giant Wantedをプレイしたという体験がポジティブなものではなくなってしまうのです。この問題点を的確に把握し、改善したことがGiant Wantedのヒットの理由の一つでしょう。
シューティングゲームのノウハウを使っている
Giant Wantedを開発したゲームスタジオMegatouchは、過去にもシューティングゲームをローンチし、成功を収めています。そのため、シューティングゲームの開発には自信があり、経験もノウハウもあったのです。
過去に成功したことがあるジャンルにだけ絞ってゲームを開発すると、独創的なアイデアが思いつかなかったりトレンドについていけなかったりなど、問題も発生します。しかし、既に持っているノウハウを利用できる、需要があることに確証を持てるなどのメリットもあります。
既にヒットしたゲームがある場合は、そのゲームの続編として新作を開発する方法も。マーケット調査で需要があると分かっているジャンルであれば、自社のノウハウを活かせるところに集中してゲームのアイデアを出す方法もあるでしょう。
他にヒットしているハイパーカジュアルゲーム
Giant Wantedの他に、ヒットしているハイパーカジュアルゲームをいくつか見ていきましょう。より成功に近づけるヒントがあるはずです。
Sort It 3D
Sort It 3Dは、異なった色のボールが入った筒を整理するハイパーカジュアルゲームです。操作はスライドするだけで簡単。少し頭を使ってパズルを解く楽しさと、ボールを整理し終わったときの達成感が魅力です。
Sort It 3Dの場合は、チュートリアルを工夫したようです。静止画だったチュートリアルをユーザーが実際に操作して遊べるものに変更したことで、ゲームプレイの方法をユーザーが簡単に理解できるようになりました。これは、Giant Wantedでも重要視されていたユーザー体験の改善といえるでしょう。
ユーザーがゲームのプレイ方法を理解しないままゲームを始めてしまうと、ゲーム本来の楽しさを知ることができません。ユーザーは不完全燃焼だと感じ、離脱してしまいます。Sort It 3Dでは、このような不快な体験をさせないためにチュートリアルをインタラクティブなものにした施策が効果的だったのです。
Sort It 3Dについて、詳しくはこちらの記事で取り上げています。
Sort It 3Dがリリース後すぐにUSで1位を獲得した方法
Stacky Dash
Stacky Dashもヒットしているハイパーカジュアルゲームです。
キャラクターが進む方向をスワイプで操作し、足元の板を集めながらコースを進みます。パズルとランナーの両方の特徴を兼ね備えており、デイリーで10万インストールを達成するなど、大きな人気を集めているゲームです。
Stacky Dashも様々な改良を重ねてヒットを達成していますが、行われた多くの微調節の一つとして、橋を渡る操作方法の変更があります。もともとはスワイプで橋を渡らせていましたが、パズルを解いたら自動で橋を渡れるように変更しました。こうすることで、ゲームのメイン要素であるパズルに集中させ、またランナーゲームのような「前進している感覚」を味わわせることができるようになったのでしょう。
ゲーム要素の細かい変更は、実際にテストでユーザーの反応を見なければ効果のほどが分かりません。しかし、ノウハウがある場合は、過去の事例を参考に、ゲーム改善につながる微調整部分を見出すことができるかもしれません。
Stacky Dashについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
Stacky DashはSupersonicとのパートナーシップにより、CPIを37%減少させ、28カ国でトップ5にランクイン/
いろいろなハイパーカジュアルゲームの事例から学ぼう
今回紹介したGiant Wanted、Sort It 3D、Stacky Dashの3つ以外にも、チャート上位にいるハイパーカジュアルゲームを分析してみると自分の作品に活かせるヒントが見つかるかもしれません。
今回紹介した3作品の共通点としては
・過去のノウハウを活かしてテストを多く行っている点
・Supersonicと提携してリリースされている
といった部分が挙げられるでしょう。Supersonicの公式サイトには事例が多く掲載されていますので、ご興味のある方はぜひ公式サイトにも行ってみてくださいね。
投稿者プロフィール
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株式会社ソースコード広報部/ライター
海外のインディーズゲームが好きで、自分でも開発するようになるが、飽きっぽく凝り性なので一人でリリースまで作り上げることができず、ぐだぐだしているところをスカウトされた。
現在は主にディベロッパーへの技術サポートと公式サイトのお役立ち情報の更新を担当している。
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