若者を中心に人気を集め、SNSの代名詞となっているTikTok。ハイパーカジュアルゲーム業界にもその波は届いており、TikTokのトレンドを元にした作品が次々にヒットしています。
ゲームコンセプトの考案はハイパーカジュアルゲーム制作において最も難しいステップの一つ。ポテンシャルのあるコンセプトでなければ、プロトタイプから先には進めません。そこで、TikTokを参考にしてコンセプトを考えてみてはいかがでしょうか。
今回は、Supersonicのマーケット調査専門家・Uri Ron氏がTikTokでハイパーカジュアルゲームを作る方法について解説した記事を紹介します。TikTokを元にした事例も紹介し、理論から実践まで幅広くカバーするのでぜひご覧ください。
TikTokとハイパーカジュアルゲームの相性
そもそも、TikTokとハイパーカジュアルゲームの相性が良・いのはなぜでしょうか?その鍵は「共通したユーザー層」にあります。
TikTokはアクティブユーザーが10億超えの、世界中で人気があるSNSプラットフォームです。そして同じように、ハイパーカジュアルゲームのターゲットも世界中の人々。ユーザー層が似ているため、TikTokのトレンドはハイパーカジュアルゲームでも人気になる可能性が高いのです。
また、TikTokでトレンドになるということは既に幅広いオーディエンスからの支持を得ているという意味なので、コンセプトの有望性が保証されています。あとはゲームとしても人気が出るようにテストし設計すれば、ヒットすること間違いなしといえるのです。
さらに、ユーザーがTikTokを開く理由は、ほとんどの場合「暇つぶしのため」です。同じく、ハイパーカジュアルゲームも暇つぶしにプレイされるゲームジャンル。カジュアルゲーマーと呼ばれ、ゲームプレイのためにわざわざ時間を作るのではなく、日常の暇な瞬間(待ち時間や通勤時間など)にゲームをプレイする人々がターゲットです。TikTokとハイパーカジュアルゲームのユーザーはどちらも、楽しい暇つぶしの方法を探しているという点で共通しているといえるでしょう。
TikTokをハイパーカジュアルゲームにする方法
そんなTikTokのアイデアをハイパーカジュアルゲームにするコツは以下の通りです。Supersonicが豊富な経験から導き出した最適解ですので、TikTokを使ってゲームコンセプトを考える際はぜひ参考にしてくださいね。
再生回数は1000万回以上
まず、TikTokに溢れる多くの動画の中から、どの動画やトレンドがゲームとして成立するほど人気を集めているのかを判断する必要があります。トレンドの人気度を測るためには、再生回数に注目するのがおすすめです。
Supersonicでは、1000万回以上再生されていればハイパーカジュアルゲームとしてのポテンシャルがあるとされています。
一般的なルールとして、少なくとも1000万回再生されている動画は、再生回数がそれ以下の動画よりもマーケッタビリティーの高いコンセプトになりやすい傾向にあります。
引用:Supersonic
ただし、1000万回再生されている動画ならCPIが低くなると保証されているわけではありません。CPIを充分に低くするためにはゲームとして面白い必要がありますが、少なくともTikTok内では充分な人気を得ているという境目が1000万回なのです。
「トレンド発見」の利用
TikTokの機能「トレンド発見」も便利。今人気の動画やハッシュタグがまとめられており、ゲームにできそうなトレンドを見つけるのに最適な機能です。ハッシュタグの人気がグラフ化されていたり、フィルターをかけて検索できたりするため、TikTokのアプリよりも効率的にトレンドを探すことができます。
手始めに以下のようなハッシュタグを検索してみましょう。以下は長期間人気があるトレンドです。
#satisfying
#asmr
#diy
#crafting引用:Supersonic
スピード感を持って制作する
急激に人気が出た、いわゆるバズったトレンドをゲームにする場合は、スピード感を持って制作することが重要です。
CPIが高い場合は、他のTikTokの動画でプロトタイプを作成しなおしましょう。(中略)TikTokにおけるトレンドの移り変わりは速く、既に他のTikTokの動画がハイパーカジュアルゲームのヒット作になるのを待っているはずです。
引用:Supersonic
時間をかけてゲームを制作していると、トレンドの人気が落ちてしまうかもしれません。Supersonicは、スピード感を持ってプロトタイプを制作するために以下のアドバイスをしています。
・プロトタイプのレベルは3〜5つだけ作成する
・ゲームのアセットは自分でデザインせず、購入する
・テンプレートを作成し、各プロトタイプの始点とする引用:Supersonic
ゲームとしての質を確保する
TikTokで人気であれば、多くのユーザーの好みに合っていることは証明されています。しかし、動画として人気でもゲームとして人気になるとは限りません。そこで、TikTokのトレンドを質のいいゲームに変換するスキルが必要になります。
ゲームにできそうなトレンドを見つけたら、以下のような点に注目しましょう。
・ゲームはどのように進捗するのか?
・主なメカニクスは何になるのか?
・ゲームの目的は何か?引用:Supersonic
TikTokを元にしたゲームの事例
最後に実践編として、TikTokを元にしたハイパーカジュアルゲームの事例を紹介します。
Phone Case DIY
Phone Case DIY(スマホケースDIY)はCrazy Labsがリリースしたハイパーカジュアルゲームです。TikTokでトレンドになっていたスマホケースをデザインする動画を参考に、プレイヤーが様々な色のスプレーやステッカーを使ってスマホケースをカスタマイズできるゲームを作成しました。
TikTokでは他の人の作品を見ているだけで、自分のクリエイティビティを発散することができません。実際に自分の手でスマホケースをデザインしたいというユーザーの需要を上手に捉えたのがこのゲームといえるでしょう。結果として、1億インストールを突破するヒット作になっています。
Park Marks
Park MarksはSupersonicからリリースされたハイパーカジュアルゲームです。形が整った線をキレイに引く動画がTikTokでトレンドになっていたため、このアイデアをゲームにしました。
元となった投稿のハッシュタグを見ると「#satisfying」が使われています。Satisfyingとは、満足させるという意味です。見ていて爽快感が得られるような動画は、TikTokで人気のジャンル。今回は、#satisfyingトレンドの中でも注目されていたラインマーキングトレンドがゲームになったというわけです。
そして結果は以下の通り、大人気となりました。
この人気のあるトレンドを面白いゲームにしたことで、Park Marksはたった2ヶ月の間に130万回以上のインストールを獲得しています。
引用:Supersonic
Tie Dye
Tie Dye(タイダイ)はCrazy Labsのハイパーカジュアルゲームです。Tシャツやビキニなど、好きな衣類を絞り染めでデザインできます。このゲームでは自分の好きなように絞り染めるだけでなく、お客さんからリクエストを得ることも可能です。
絞り染めはTikTokでトレンドになっているだけでなく、夏休みのアクティビティとして昔から人気のある遊びです。昔ながらの遊びに親近感を感じるだけでなく、TikTokの動画を実際に体験できること、また、結び目を解くまでどのようなデザインになっているか分からないワクワク感などがヒットの理由でしょう。
昔ながらの遊びがTikTokでもトレンドになっている場合は、ハイパーカジュアルゲームにするチャンスかもしれません。
日常的にアンテナを張っておこう
TikTokに限らず、普段使用しているSNSにハイパーカジュアルゲームのヒントが隠れているかもしれません。日常的にアンテナを張っておくことで、ユーザーの気持ちになってコンセプトを考えることができます。
今回紹介した実例や、Supersonicがおすすめする方法を参考にしながら、ご自身もTikTokのトレンドを探索してみてくださいね。
Supersonicの記事はこちら
→TikTokを使ってハイパーカジュアルゲームのコンセプトを考える方法
投稿者プロフィール
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株式会社ソースコード広報部/ライター
海外のインディーズゲームが好きで、自分でも開発するようになるが、飽きっぽく凝り性なので一人でリリースまで作り上げることができず、ぐだぐだしているところをスカウトされた。
現在は主にディベロッパーへの技術サポートと公式サイトのお役立ち情報の更新を担当している。
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