ハイパーカジュアルゲームは2018年ごろに登場し、ここ数年の成長が著しいモバイルゲームのジャンルです。ハイパーカジュアルゲームの市場規模は大きく、2021年には約4兆円に達したとする見込みもあります。
その収益性の高さから、ハイパーカジュアルは「ゲーム」というよりも「ビジネス」だと言う人もいるほど。この記事では、そんな将来性のあるハイパーカジュアルゲームの市場について解説します。
ハイパーカジュアルゲームの市場規模
2020年に始まった新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、モバイルゲーム市場は急激な変化を遂げています。ハイパーカジュアルゲームは、今やモバイルゲームの代表と言っても過言ではありません。
モバイルゲーム市場におけるシェアは30%以上
App Annie Japan株式会社が行った調査によると、2021年のモバイルゲーム市場におけるハイパーカジュアルゲームのシェアは30%以上でした。2018年には10%代だったことから、たったの3年で約3倍となったことが分かります。右肩上がりとなっており、これからも成長し続けることが期待できるでしょう。他のモバイルゲームジャンルと比べてもその成長の著しさは一目瞭然です。
出典:App Annie「2021年モバイルゲーム市場最新レポート: サブジャンル、収益化、ユーザー獲得の重要トレンド」
また、ダウンロード数が最も多かったゲームのトップ10のうち4つがハイパーカジュアルゲームでした。ハイパーカジュアルゲームはターゲットの規模が大きいジャンル。直感的にプレイできるため、世界中の老若男女にプレイされています。もともとターゲットとしているユーザーが多いので、市場規模も自然と大きくなりやすいのです。
出典:App Annie「2021年モバイルゲーム市場最新レポート: サブジャンル、収益化、ユーザー獲得の重要トレンド」
消費者支出がコロナ前に比べて40%の増加
また、ハイパーカジュアルゲームは新型コロナウイルスの感染拡大によって急成長したジャンルでもあります。家で過ごす人が増え、暇な時間を潰すためにハイパーカジュアルゲームをダウンロードするユーザーが続出したのです。その結果として、2020年3月にはモバイルゲームの週間ダウンロード数が10億件を突破しています。ハイパーカジュアルゲームだけでなく、モバイルゲーム市場全体が成長した2年間となったのです。
前出の調査によると、2021年上半期の消費者支出は新型コロナウイルス感染拡大前に比べて40%増加しています。消費者がモバイルゲームに費やした金額は1週間あたり17億ドル(約2010億円)にまで拡大しているのです。2021年上半期には、なんと810本のゲームが毎月100万ドル(約1億円)以上の収益を得ました。
少しずつ日常に戻りおうち時間が少なくなっていますが、ハイパーカジュアルゲームは中毒性があるゲームジャンルのため、今後もプレイし続けるユーザーは増え続けると考えられます。
「ウルトラカジュアルゲーム」の登場
ハイパーカジュアルゲームから派生した新しいジャンルも登場し始め、市場規模はさらに拡大しています。通常ゲームと言うと、目的を達成するためにプレイヤーが失敗したり成功したりして楽しむメカニクスで作られています。しかし、最近注目されている「ウルトラカジュアルゲーム」では失敗や成功と言う概念はなく、ユーザーが「体験を楽しむ」ことを大切にしたメカニクスで作られているのです。
例えば、「Soap Cutting」や「ASMR Slicing」など、感触や音などに爽快感があるゲームが人気になっています。TikTokやYouTubeなどの動画配信サイトでこのような動画が人気を集めたことから、ユーザーが自分でも体験できるようなゲームがトレンドとなりました。
ハイパーカジュアルゲームはそもそも、隙間時間など気軽にゲームをプレイするカジュアルゲーマーをターゲットとしています。ターゲットとなる人数が多いのが特徴ですが、「ウルトラカジュアルゲーム」はさらにターゲットを広げています。ウルトラカジュアルゲームにはゲーム要素が少ないため、普段はゲームをプレイしないけれど、ストレス解消やリラックスをしたいユーザーにアプローチしているのです。
このような派生ジャンルも登場することで、ハイパーカジュアルゲーム市場の規模はどんどん大きくなっています。トレンドの移り変わりが速いので常に市場に注目する必要がありますが、ビジネスチャンスはどんどん現れるでしょう。
ハイパーカジュアルゲームはなぜ稼げるのか?
ターゲットが多いこと以外にも、ハイパーカジュアルゲームが稼げる理由はたくさんあります。
開発費用が安い
まず、ハイパーカジュアルゲームは開発費用が安いという特徴があります。メカニクスがシンプルなため、複雑なシステムを構築する必要がありません。また、Unityなどのゲームエンジンを使って開発されることが多く、アセットや他のゲームのテンプレートなどを使えるので開発の難易度も低いのです。
ハイパーカジュアルゲームは開発期間もたったの数ヶ月程度。むしろトレンドの移り変わりが速いため、長時間かけて開発することは望ましくありません。ハイパーカジュアルゲームは開発期間が短く、特段に高い技術も必要としないため、収益性が高くなっているのです。
ユーザー獲得費用が安い
ハイパーカジュアルゲームは、他ジャンルと比べてユーザー獲得費用が安いという特徴もあります。
2013年ごろまで、モバイルゲーム市場ではアプリ内課金がメインの収入源でした。しかし、このビジネスモデルではアプリ内課金をしてくれる数少ないユーザーを獲得する必要があったため、ユーザー獲得費用は増加していたのです。
しかしハイパーカジュアルゲームでは「アプリ内広告」からの収益に頼っています。アプリ内課金をメインとするモデルと比較してLTV(顧客生涯価値)は低いですが、その分広いユーザー層に拡大しているため収益が安定しているというのが特徴。また、ユーザー獲得費用も比較的安いため、少ない金額で安定したユーザーを得られるという強みがあるのです。
ハイパーカジュアルゲーム業界内での回遊
市場規模が大きいと競合との競争が心配の種となりますが、ハイパーカジュアルゲームに関しては「業界内での回遊」も期待できます。
ハイパーカジュアルゲームでは、ユーザー獲得のために同ジャンルのゲームに広告を配信します。直感的には、ユーザーが競合に流れてしまうのではないかと心配になりますよね。確かに他のジャンルでは、一度に一つのみゲームをインストールするユーザーが多いです。しかしハイパーカジュアルゲームでは、同時に複数のアプリをダウンロードしプレイするユーザーが多い傾向にあるのです。
競合同士がお互いの広告を配信すると、ハイパーカジュアルゲーム業界内にユーザーを留められるというメリットがあります。パブリッシャーにとっては、自社がパブリッシングするゲームを複数プレイしてもらうことで収益を拡大できると言うメリットもあるのです。
ハイパーカジュアルゲーム業界内で回遊しているユーザーが多いこの市場の構造によって、ハイパーカジュアルゲームは安定して高い収益を上げられるようになっています。
ハイパーカジュアルゲーム市場は今後も成長
ハイパーカジュアルゲーム市場は今後も成長が期待できるでしょう。世界中でモバイルゲーム市場が成長しており、ハイパーカジュアルゲームはその市場シェアも年々増加しているのです。スマホが便利になるにつれ、スマホはさらに人々の生活から引き離せないものとなることも好影響をもたらすでしょう。
世界中をターゲットとしていることから、成長の規模も計り知れません。ハイパーカジュアルゲーム業界に参入するなら、今がチャンスかもしれません。
投稿者プロフィール
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株式会社ソースコード広報部/ライター
海外のインディーズゲームが好きで、自分でも開発するようになるが、飽きっぽく凝り性なので一人でリリースまで作り上げることができず、ぐだぐだしているところをスカウトされた。
現在は主にディベロッパーへの技術サポートと公式サイトのお役立ち情報の更新を担当している。
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